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医療・介護事情についてMEDICAL and CARE

インド・バンガロール病院視察報告

多摩大学医療・介護ソリューション研究所フェロー 永川隆史


1.Sakra world hospital

病院概要:294床、職員約700名、平均在院日数 4.5日、オペ数 約200件/月

特  徴:セコムの新東京病院をモデルにした急性期病院。リハビリテーションに注力して
おり、500uのスペースと最新機器を備えているのが目を引いた。 外来リハが中心であるが、
今後は回復期リハにも力を入れる。リハスタッフはPT7名、OT1名、ST1名。
また、マーケティング部隊が充実しており、27名のスタッフを抱えている。メディカル・
ツーリズムについては、 東アフリカの患者が多いということであった。

感想等:セコムと豊田通商が組んで、日本型の医療を展開とのことで期待しているが、
医療機器については日本製が少ない模様。予算上の制約が大きい。


2.Fortis hospital

病院概要:400床(グループ最大)、職員約950名(医師190名、看護師450名、
リハスタッフはいない)、平均在院日数3日、外来500〜700名/日

特  徴:患者は90%がインド人、残りはアフリカ人が多い。日本人は駐在員が少々。
グループは海外にも展開している(スリランカ、マレーシア、ベトナム、シンガポール
など)が、徐々に縮小の方針。インド国内の需要が急拡大のため、国内に注力。

感想等:透析患者がアフリカから来ていることに驚いた。腎臓移植の待機措置が多い。


3.Apollo hospital

病院概要:インド最大の民間病院グループで54病院、8,500床。バンガロール病院は
2007年設立で、同グループの フラッグシップ的存在。

特  徴:メディカル・ツーリズムで 有名である。 国外からの患者はアフリカ、
中東が8〜9%で最多。 米国が3〜4%。 ヨーロッパは少ない。
循環器系、癌治療、移植医療に力を入れている。

感想等:24×7を掲げ、救急医療にも力を入れている。13台の救急車を擁する。


4.Vikram hospital

病院概要:225床、医師数100名、外来300名/日、平均在院日数 3日、救急車4台

特  徴:インド国内の中上流層の患者が多い。メディカル・ツーリズムに力を入れており、
国外からの患者はアフリカ、中東、ヨーロッパの順に 多い。 各地に提携クリニックを
持っており、そこからの紹介も多い。 メディカル・ツーリズム関係の患者は外来が
120名/日、入院が30名/日。

感想等:FortisやApolloに比べると庶民的なイメージの病院である。透析ベットが10床
あった。平均的な患者は週に2〜3回、1日4時間の透析を受ける。


5.ボーリング=レディ病院

病院概要:国立病院で大学病院も兼ねる。1,066床。オペ室13。

特  徴:国立病院は医療費がかからないため、中下流層が患者の大半を占める。
待ち時間は数時間にも及ぶ。院内に看護学校を抱え、看護師を養成している。

感想等:施設は清潔とは言い難く、衛生上も問題は多そうである。NICUや透析室には
一応の設備は整っていたが、どれくらい機能しているのか。透析機器は10台あり、
1日4回、1回あたり4時間使用されていた。

■インドにおける透析医療

国際糖尿病連合(IDF)の「糖尿病アトラス 第6版」によると、インドの糖尿病患者数(20−79歳)は世界2位で、65,076千人である。2035年には1億人を超えると推定されている。


糖尿病罹患率は、8.56%であるが(日本は7.56%)、高齢化を排除した年齢調整後の罹患率は9.09%(日本は5.12%)とかなり高率である。 また、糖尿病に関連する死者数は1,065,000人にも上る。将来的に透析患者数は大幅に増加すると考えられる。 今回の視察で驚いたことは、ダイアライザーのリユースであった。各病院は平均して10〜15回利用していた。 日本人の透析患者が安心して、インド旅行できるようになるのは、かなり先になりそうであると 感じた。

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